【開発論】トレードアルゴリズム構築過程で発生するバイアスの克服について

本記事は、トレードアルゴリズムの構築過程で発生するバイアス(データ・スヌーピング・バイアス)の克服についての考察です。

【開発論】トレードアルゴリズム構築過程で発生するバイアスの克服について

トレードアルゴリズム構築過程で発生するバイアスとは?

本記事の主題であるバイアス(データ・スヌーピング・バイアス)とは、「全く有意性がないにも関わらず、誤って有意性があると判断してしまう過ち」のことで、自動売買ツールのストラテジー構築段階において特に気をつけなければいけません。

データ・スヌーピング・バイアスについては少し難しいかもしれないので、具体例を挙げてみましょう。

データ・スヌーピング・バイアスの具体例

例として、じゃんけんで勝率が高いストラテジーを考えるとしましょう。

この時のじゃんけんの勝負ルールとして、あいこだった場合は勝つか負けるまで繰り返し行うとします。

100回のじゃんけんで統計をとった結果、60勝40敗のデータであったとします。そして、あいこだった回数が30回あり、その結果の内訳は18勝12敗でした。

1回でもあいこになった勝負の18勝のうち、15勝がチョキで勝ちました。

この時「あいこになった時はチョキを出せばいい」という判断をしてしまうのがデータ・スヌーピング・バイアスです。

この100回の勝負の統計としてたまたま「チョキ」が勝っていた確率が高かっただけであり、これが1000回、10000回と増やしていくほどに「グー」「チョキ」「パー」で勝つ確率がどれも同じ割合に収束していきます。

完全にランダムで繰り出される「グー」「チョキ」「パー」のじゃんけんには、勝つための優位性のストラテジーなんてそもそも存在しないのです。

しかしながら、このように「あいこになった時はチョキを出せばいい」と誤って判断してしまうことが、自動売買ツールの開発においても多々あります。

自動売買ツールの見極めについて

世の中に無数に提供されている自動売買ツールから、このバイアスを克服して市場優位性があるアルゴリズムを搭載しているかどうかを見極めるのは極めて難しいと言えます。

何千何万通りの組み合わせをストラテジーに組み込みバックテストをして、その中からもっとも利益を出すストラテジーを選択したからといって実際に利益を出すとは限りません。

バックテストでどれほど素晴らしい結果を出していても、フォワードテストで再現性がなかった場合はバイアスの罠にハマっていると考えてもいいでしょう。

また、たとえフォワードテストがよくとも単に相場が適しているだけの場合もあり、フォワードテストがいいからという理由で完全にバイアスを克服しているかどうかを判断できないのも事実です。

では、このバイアスを克服するためにはどうしたらいいのか?

これについては、ふたつの克服方法が存在すると僕は考えています。

バイアスの克服方法についての考察

AIによるバイアスの回避

ひとつ目の方法として、トレーディング戦略の評価にAI(機械学習)を用いることで、利益をあげるアルゴリズムを選定することで一定のバイアスを取り除くことができます。

これについては、アメリカのサンフランシスコに拠点を置くクオンツファンドのセレベラム・キャピタルが取り組んでいます。

セレベラムの手法の特徴は、すべての戦略を生成しその中から利益が出るシステムを探索することです。この時発生するバイアスについて「シーブ」と呼ばれる学習関数によってシステムの選別を行うことで、実際に利益を出すシステムを52%から75%まで上昇させたという報告があります。

しかしながら、そのファンドはベイビュー・アセット・マネジメントを通して機関投資家向けのファンドとして販売されているため、我々が手にすることはまずないでしょう。

トレンドの選定によるバイアスの排除

二つ目の方法として、いくつかのトレンド相場を犠牲にしひとつのトレンドに絞ることでバイアスを排除することができます。

これにはもうひとつ利点があり、ひとつのトレンドに絞ることで優位性のあるトレードアルゴリズムを搭載することが非常に簡単になります。

そしてこの優位性のあるトレードアルゴリズムこそがナンピンロジックです。

レンジ相場などの価格が回帰するという市場想定のもとにおいてナンピンロジックを搭載することにより、トレードの優位性を非常に高めることができます。

しかしながら、上昇トレンドや下降トレンドのトレンドを犠牲にするため、完全なるクオンツ運用(システムトレード)ができず、一部においてジャッジメンタル運用(裁量)が必要になってきます。

まとめ|ジャッジメンタル運用との併用でバイアスを克服

ジャッジメンタル運用でレンジ相場などの価格回帰を想定したトレンドに限定することで、データ・スヌーピング・バイアスの罠を回避しナンピンロジックは圧倒的威力を発揮する最強のロジックとなるわけです。

現在僕が提供している自動売買ツールがすべてナンピン系ツールであるのはこの理由にあります。以前は複利運用型などの非ナンピン系ツールを提供してましたが、これについてはバイアスによる影響の判別が難しく監視や運用におけるコストから現在提供を終了しています。

投資家の間でも人気の「トラリピ」などに代表されるトラップ型トレードツールもバイアスの影響を受けない必勝ロジックを搭載しており、ツールのジャッジメンタル運用により威力を発揮します。

自動売買ツールを利用する上で、自動売買ツールのジャッジメンタル運用は非常に有効です。

このトレードアルゴリズム構築過程で発生するバイアスの克服について模索して以来、よりよいツールを開発するために僕がやるべきことが明確になりました。

それこそが、バイアスの影響を受けない必勝ロジックに極限段階まで「利益率」を引き上げることです。

現在EA開発経験豊富なエンジニアとの協業により、圧倒的進化を遂げた新しいナンピン系自動売買ツールの提供に向けて開発を進めていますので楽しみにお待ちください。

新しいナンピン系自動売買ツールの提供は2020年の秋冬頃を予定しています。